耐震補強の必要性
阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震など、近年発生している数々の大地震。
自宅の耐震性は大丈夫なのか?と心配している人も少なくないでしょう。さらに、今後30年の間にはマグニチュード6.5以上の地震が起こる可能性は4回~8回とも言われていることからも、お住まいの住居の耐震性強度の確保は必須であると言っても過言ではありません。
耐震性といわれても素人が簡単に判断できるものではありませんが、まずはお住まいの住宅の着工日を調べることをお勧めします。
現在はマグニチュード7以上の大地震に対しても倒壊しないことを前提とした新耐震基準が用いられていますが、昭和56年5月以前に着工された建造物は旧耐震基準が用いられています。
つまり、旧耐震基準で建てられた物件は、現在の耐震基準を確実に満たしていないということなのです。
阪神・淡路大震災の際に新耐震基準で建造された建築物の倒壊が全体の数パーセントだったのに対し、旧耐震基準で建造された建築物は30パーセントが倒壊しました。
以上のことからも、昭和56年5月以前の旧耐震基準で建造された建築物の耐震性の低さはおわかりいただけるかと思います。
耐震補強の要は基礎
耐震基準は年月とともに変化しています。実は、2000年にも1度改定されました。
ですから、新耐震基準で建造したからといって最新の耐震基準をクリアしているとは限らないということです。
元来、新耐震基準を用いて建造された建築物の場合には、壁などの耐震補強など比較的大掛かりではない耐震改修で問題はありません。
これは耐震性において一番重要視される基礎への大掛かりな改修が必要ないからです。
しかし、旧耐震基準によって建造された建築物の場合にはそうも言ってはいられません。それは、基礎への大掛かりな耐震補強が間違いなく必要となってくるからです。
旧耐震基準で建造された建築物の基礎の実態
旧耐震基準で建造された築50年以上の建築物と今の建築物との違いで一番に挙げられるのが基礎です。
現在の建築物は柱が基礎と連結していますが、築50年以上の建築物は連結していない独立基礎となっています。
ですから、大地震の大きな揺れで建築物が土台となる基礎から外れる可能性が高く、傾いたり倒壊する可能性が実に高いという大きな危険性を孕んでいます。
また、新耐震基準で建造された建築物であっても、築20年以上のものは注意が必要です。
当時建設された物件には、鉄筋コンクリートを用いた布基礎が用いられているのですが、驚くことにコンクリートのみで鉄筋が用いられていない無筋状態のものも少なくないのです。
一時期欠陥住宅問題が取り沙汰されましたが、この現状はその名残とも言えるでしょう。
無筋の場合は、年月によって風化して強度がなくなってしまっているために、十分な耐震性を望むことはできません。
新耐震基準で建造された建築物であるとしても、最新の耐震基準をクリアしているかの診断と合わせて、1度は耐震診断を受けてみる必要性はあるでしょう。