耐震基準が制定された経緯は?
近年日本で発生した地震災害といえば、おそらく阪神・淡路大震災と東日本大震災を思い浮かべる人が多いかと思います。
大正時代に発生した関東大震災から長らく大地震が発生しなかった日本にとって、短期間で相次いだ大地震による地震災害は日本国民の地震に対する考えを改めさせることとなりました。
しかし、地震災害は日本国民だけの問題ではなく、国家である日本国政府の地震対策にも大きな指針となったようです。あまり知られてはいないことかもしれませんが、日本は関東大震災を期に、世界で初めて耐震基準を制定した国家です。それほど関東大震災による建築物の倒壊や損壊による被害が甚大だったというわけでしょう。
耐震基準とは、建築物を建造する際に最低限の耐震性能を持っているかを保証するもので、建築許可を下す基準となるものです。
将来発生するであろう地震に備えて、耐震基準を設けて建築物の耐震性を高めることで災害被害を最小に抑えようという考えのもとに制定されたというわけです。
新耐震基準とは?
現在は、昭和56年に改定された新耐震基準が用いられるようになり、それ以前の耐震基準は旧耐震基準と呼ばれています。旧耐震基準との違いは、耐震性が大幅に見直された点です。
大正時代から大幅な改正が行われることがなかった耐震基準が見直されるきっかけとなったのは、昭和53年に発生した宮城県沖地震です。
宮城県沖地震は関東大震災とほぼ変わらないマグニチュード7.5を計測した大地震で、死者28名を含む負傷者は1万人にも上り、7400戸の建物が全半壊しました。
旧耐震基準はマグニチュード5以上7未満の中地震を想定したものでした。
しかし宮城県沖地震の被害が甚大だったあこともあり、中地震に対しても損傷せず、マグニチュード7以上の大地震に対しても倒壊しない耐震基準が必要とであるという見解となったわけです。
昭和56年の建築物は要注意!
それでは新耐震基準が制定された昭和56年以降の建築物ならば耐震性は安心できるということになるのでしょうか?
いいえ、昭和56年度に建造された建築物は要注意です。というのも、新耐震基準が制定されたのは昭和56年6月1日です。ここで問題となってくるのが着工です。
耐震基準は建造着工日が適用基準となります。ですから昭和56年6月以降の着工であれば新耐震基準が用いられた建造となっていますが、昭和56年5月以前の着工であれば旧耐震基準が用いられた建造となっているのです。
また着工から完成までに時間がかかるケースも考えるので、昭和57年以降の建築物だからといって安心することもできないのです。まずは着工日がいつだったかを確認してみることが必要ですね。