いつ起こるかわからない大地震。
不安だからこそ、日頃から準備・対策をしておく必要があります。
特に、家にいることが多い専業主婦(夫)の方は、普段から家の中の管理をひとりで行っていることが多いですよね。
そのため、災害時には家の中のことをわかっていない夫(妻)に代わってリーダーシップを取り、素早く命を守る行動をする必要があります。
万が一の時に命を守るためには、日ごろからの備えが必要不可欠です。
子供や介助が必要な家族がいる場合には、家族の命も守らないといけないので、更に日ごろの準備が大切になるでしょう。
では一体どのような備えをしておけばよいのでしょうか。
この記事では、家庭でできる地震対策をまとめました。
いつ起こるかわからない大地震の際に、家族の安全を守るためにも必ず確認してください。
住宅内部で起こる地震被害とは?
地震が起きたとき、住宅の内部ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
家具が倒れ、食器が割れてその破片が散乱し、おまけに窓ガラスも割れて家中がぐちゃぐちゃになる。
こんな状況をテレビや新聞などで見た方もいるでしょう。
2016年に起こった熊本地震では、前震・本震で震度7の揺れを2度も観測し、
住宅にも莫大な被害をもたらしました。
発生時刻が夜だったこともあり、停電で真っ暗闇の中、住宅から脱出するということが
どれほど困難であったか、容易に想像がつくでしょう。
実際に避難を難しくさせたのは下記のような事でした。
- 散乱した家具、剥落した壁が行く手を塞ぎ、わずか数メートルの廊下が進めない
- 停電で真っ暗になり、何も見えない
- ガラス戸の割れた破片が散乱し、安全な避難経路が確保できない
また、1995年に阪神・淡路大震災が発生した際、怪我の原因の約半数が家具の転倒によるもの、
その次はガラスの飛散によるものでした。
この2つのケースから、住宅内部のあり方が一瞬の避難行動を左右することがわかります。
もし、事前に対策ができるならしておきたいですよね。
自宅でできる対策はなんだろう?
震災時は、どんなに冷静沈着な人でも、パニックに陥り正確な判断ができなくなる可能性があります。
安全な行動をとれるようにするためには、日頃からどのような備えをしておけばよいのでしょうか。
特に重要な項目を下に紹介しています。
消防庁では、「地震防災マニュアル」を発表し、地震に対する行動を促しています。
消防庁 防災マニュアル
このホームページもぜひ参考にして、安全対策をしていきましょう。
家屋の耐震診断を受けておく
自治体が実施する家屋の耐震診断を受け、自分の家の耐震強度を確認しておきましょう。
対象は昭和56年5月31日以前に工事に着手した住宅です。
もしも耐震強度が足りない場合には、なるべく早く耐震補強を行うなどの対策をしてください。
また、家屋と同時に塀の耐震性についても確認しましょう。
耐震強度が不足している塀は、大地震の際に高い確立で崩れてしまいます。
家族だけではなく、地震の際に家の前にいた人にまでけがをさせる恐れがあり、大変危険ですから、自宅に塀がある方は、塀の耐震性のチェックもしっかりと行ってください。
火災にも備える
大地震と連動して発生し、多くの人の命を奪うのが火災です。
火災は発生させないことが一番ですが、万が一の場合は早く気づくことが大切です。
以下の対策をして大地震の際の火災にも備えましょう。
- 消火器を備え、操作方法を確認しておく
- 火災警報器を設置する
- 普段使用しないコンセントは抜いておく
- 電気設備には漏電防止機器を備える
安全な場所をつくる
地震の時は、机の下に身を隠すように教わった方もいるでしょう。しかし、いつ何時も机の下が安全というわけではありません。
火災やガス漏れが発生した場合や、建物が倒壊した場合に、ずっと机の下に身を隠していると逃げられなくなる恐れがあるからです。
地震発生時は、ドアを開け避難路を確保し、転倒落下物が少なく閉じ込められない安全な場所へと退避することが大切です。
例えば、玄関付近は住宅の構造上小さな空間にたくさん柱があるので、地震に強い場所です。すぐ外に避難できることも利点です。
自宅の中で、安全な場所はどこか探してみましょう。
また、安全な場所がない場合にはつくることも大切です。
安全な場所をつくるために、家の中の以下の部分を確認しましょう
- 就寝する場所の近くに転倒の恐れがある家具はないか?・・・就寝時は揺れに対応しにくいため、特に寝室は安全になるように配慮する必要があります。なるべく寝具の近くに家具を置かないようにしましょう。
- トイレの安全対策にも注意・・・トイレも油断しやすい場所です。上部に設置された棚に重いものを置くのは避けましょう。
また、陶器製のタンクのフタが落下したり飛んでくる恐れもあるため、養生テープやビニールテープなどで固定しておくと安心です。 - 閉じ込めの危険がある場所はないか?・・・家具が倒れた際に、ドアの開き勝手と重なりませんか?重なる場合にはドアが開かず、部屋の中に閉じ込められる恐れがありますので、家具を移動させるかしっかりと固定しましょう。
脱出ルートをつくる
緊急地震速報が出たら、まずは「ドアを開ける」「窓を開ける」避難路を確保するよう心がけましょう。
激しい揺れにより玄関が開かないこともあるので、自宅から外へ出る避難経路は複数のルートを考えておくのがよいです。
また、ドアまで避難するルートに家具が転倒したり、ガラスの破片が飛散したりしないように、日ごろから家具の向きや配置を工夫する必要があります。
家具の配置や転倒防止の工夫をする
地震の際の、家具の転倒や落下が原因でけがをする人はけが人全体の30~50%を占めています。
家具をできるだけ減らす、家具を固定すると共に地震発生時の家具の転倒・落下・移動を想定したときに、危険性の低い家具配置を心がけましょう。
具体的には、以下の手順で家具の配置を行います。
居住空間と収納空間を分ける・・・クローゼットや備え付け家具などの転倒の危険性が少ない場所に集中して物を収納し、居住空間になるべく収納家具置かないようにしましょう。
家具のレイアウトを見直す・・・地震が発生した場合に危険は無いかを確認しながら見直します。くつろいだり、就寝する空間に家具の転倒や落下物の恐れはないか?脱出経路を妨げる家具はないか?倒れた家具が窓ガラスなどを破損してしまわないか?等
家具の転倒や落下防止の対策をする・・・
家具は、安全な配置を行ったうえで転倒防止器具等を使って以下のように固定し、安全性の精度を高めます。
・タンス 壁に固定、床側をストッパーで固定、天井側をつっぱり式器具で固定、引出し等を留め金具で固定
・食器棚 壁に固定、開き戸や引出しを留め金で固定、床側をストッパーで固定、天井側をつっぱり式器具で固定
・本棚 壁に固定、床側をストッパーで固定、天井側をつっぱり式器具で固定、重い本は下に粘着マットを敷く
・テレビボード 壁に固定、床側をストッパーで固定、テレビは壁付けにするか粘着マットを敷く
10階以上の高層階に住む方は、長期地震動対策として、家具の移動防止も行いましょう。
東京都の港区では、家具転倒防止器具等の助成を行っていますので、一家庭あたり1~10個の転倒防止器具等を助成によって取り付けることができます。
この様な制度は積極的に利用したいですね。
備蓄品・非常持出品を用意する
地震が発生すると、普段どおりの生活ができなくなる可能性があります。数日間生活できるだけの備蓄品を備えておきましょう。
目安としては、支援物資が届くまでの最低限3日程度の水や食料を保管しておきます。
健康維持に必要な1日の水分量は、成人男性で約3.5リットル、成人女性で約2.5リットル、子供で約1.5リットルと言われています。
食料は賞味期限の管理が大変なので、お米や乾麺、缶詰、レトルト食品、乾物など、普段使いもでき、常温保存がきくものをストックするとよいでしょう。
備蓄の場所は、どこかの空間に閉じ込められてしまったときのことも考え、1箇所にまとめず、分散させておくようにしましょう。
自宅での被災生活に必要なものを揃える「備蓄」に対して、安全な場所に辿り着き、そこで一定期間を過ごすために必要なものが「非常用持出品」です。
懐中電灯、乾電池、非常用ローソク、マッチ、クイックコンロ、燃料、アルミ鍋、食器セット、ロープ、救急セット、飲料水、非常食、携帯用トイレ、ティッシュペーパー、ポケットラジオなど、必要なものの優先順位をつけ、コンパクトに収納しておくように心がけましょう。玄関や寝室など持ち出しやすいところに置いておくと便利です。
枕元に避難準備をしておく
就寝時の地震は、最も油断している状態のためすぐに安全な行動を取りにくく、とても危険です。
家具の配置に気をつけた上で、枕元や寝室の手の届く位置には最低限、以下のものを備えておくと安心です。
- ヘルメット
- 懐中電灯
- 居場所を伝えるホイッスルやブザー
- 靴
- 冬の場合防寒着
就寝時に大地震に見舞われた場合でも、安全に避難することができるように備えましょう。
避難場所までの経路確認
自宅から脱出した後に向かう避難場所と、その経路について確認しておきましょう。
避難場所までの道のりで、危険な場所がある場合には、回避する必要があります。
時間差で崩れる建築物や、火災が発生する恐れもあるため、以下の点に注目してより安全に避難できそうなルートを探しましょう。
- 崩れて道を塞ぎそうな建築物やブロック塀は無いか?
- 狭い道はないか?
- 舗装されていない道はないか?
- 土砂崩れ等で塞がりそうな道はないか?
- 自転車や荷車を押して行ける道はあるか?
小さいお子さんや、介助が必要な家族がいる場合、特に避難経路の安全性には配慮する必要があります。
自宅から徒歩で何分かかるのか?歩ける道のりか?などを普段から確認してシミュレーションしておくと安心ですよ。
家族で地震について話し合う
地震が発生した場合、家族が家に揃っているとは限りません。
また、家族が揃っている場合でも、それぞれが落ちついて行動をするためには、日ごろから防災について家族で話し合い、行動のイメージし合うことが大切です。
ぜひ家族で、以下のことについて話し合う機会を作ってください。
- 地震が発生した場合の役割分担・・・初期消火、避難経路確保、持ち出し袋係など
- 外出時の安否確認の方法、集合場所
- 自宅からの脱出方法とその経路
- 避難場所とその経路
- 防災グッズや備蓄の場所
- 子供を迎えに行けない場合、誰に引き取ってもらうか
- 家庭内の安全な場所と危険な場所について
- 安全姿勢のとり方
- 小さな子供や介助が必要な家族の避難方法について
もしも家族が話しあう時間が無い場合には、家族専用の防災マニュアルを作っておいて、各々時間がある時に読んでもらうことも効果的です。
おすすめ防災グッズ
非常用持ち出し袋に入れる防災グッズをはじめ、家具の転倒防止器具など安全を守るためのおすすめグッズを紹介します。
・家具転倒防止器具
おすすめグッズ:アイディールブレーン ガムロックBB
家具本体を壁に固定することができる器具です。
粘着性のためネジを使わず、目立たず設置することができるためお部屋の雰囲気も壊しません。
おすすめグッズ:家具転倒防止伸縮棒ML アイリスオーヤマ
家具の上部と天井を突っ張って、家具の転倒を防止するグッズです。
突っ張るだけなので、家も家具も傷めずに設置できため賃貸でも安心して使用できますね。
おすすめグッズ:耐震ジェル サンワダイレクト
家具や家電の底面に張るだけで、地震による転倒を防ぐことができます。
テレビやパソコンにおすすめで、何度でも洗って使用することができる優れもの。
ただし、寿命は5年程度でその後どんどん効果が薄れて行くので、非常食などの防災グッズと同様に定期的な買い替えを行うようにしてください。
・ヘルメット
おすすめグッズ:防災用折りたたみヘルメット BLOOM TOYO
防災持ち出しグッズの必需品であるヘルメットは、折りたたみ式が便利です。
常時畳んでおくことで、場所を取りませんし、普段のバッグにも入れることができますね。
非常時も紐を引くだけで簡単に組み立てられますよ。
・救助笛
おすすめグッズ:防災用救助笛 コクヨS&T
瓦礫にはさまれて身動きが取れない際や、閉じ込められてしまった際に手元にあると安心なのが救助笛です。
人の耳に届きやすい周波数を鳴らすことができるので、自分の居場所を確実に伝えられます。
・非常食
おすすめグッズ:備蓄deボローニャ
防災時にも、普段でもおいしく食べられるパンの缶詰です。
おいしい上に日持ちして、缶詰なので水濡れにも強く、軽いため非常用持ち出し袋に入れておくととても心強いですよ。
おすすめグッズ:ビスコ保存缶 江崎グリコ
5年間保存できるビスコの缶詰で、味は普通のビスコと変わりません。
災害で環境が変化し、食が進まなくなる子供も多いです。
子供のいる家庭はひとつ備えておきたいですね。
おすすめグッズ:防災用プラボトルドロップス サクマ製菓株式会社
5年間保存できるプラボトル入りのサクマドロップスです。
災害のショックで食事が喉を通りにくい人でも、口に入れておけばエネルギー補給ができます。
・飲料水
おすすめグッズ:SAWYER Mini
安全な飲料水を手軽に作れる携帯型の浄水器です。
持っておくと飲料水確保の不安から開放されるでしょう。
おすすめグッズ:ウォッシャブルタンク Nタイプ10L
飲料水の保存や水道水の保存に役立つ10Lタイプのタンク。
注ぎやすく、持ち運びがしやすく、お手入れもしやすい使いやすさを追求されたタンクです。
・トイレ
おすすめグッズ:抗菌ヤシレット サッと固まる非常用トイレ
非常用のトイレキットで、用便を素早く固める凝固材が入っています。
使用後は水に流さず、そのままゴミとして処分できるのでとても便利ですよ。
おすすめグッズ:消臭ロール
防災用のトイレットペーパーで、消臭効果のある物質が刷り込んであるため、水に流せなくても悪臭の心配がありません。
防災トイレとセットで備えておきたいですね。
・エチケット
おすすめグッズ:おふろですよ
体を手軽に清潔にできるウェットティッシュです。
洗浄成分を含んでいるため、水なしでも体を清潔にすることができます。
ウェットティッシュは、体だけでなく口の中や身の回りのものも水なしで清潔にすることもできるので、必ず備えておきたいですね。
・発電機
おすすめグッズ:MGC900GB 三菱重工
家庭用のカセットボンベで発電ができる発電機です。
カセットボンベも備蓄として備えやすいので、災害時に役立つことは間違いありません。
災害時も電気が使えれば、暮らしの安心感は大きくなりますよ。
おすすめグッズ:ソーラーチャージャーモバイルバッテリー10000mAh SURIA
太陽光でスマートフォンを充電できる充電器です。
スマートフォンを2台同時にフル充電することができ、LEDの懐中電灯付きのため、災害時に重宝することは間違いありません。
防災に役立つ!情報サイト
災害時に安全な行動を取るためには、日ごろからの備えとして防災の知識を身につけておくことも大切です。
以下のサイトを家族みんなで確認して、防災意識を高めましょう。
・内閣府防災
内閣府のサイトで、災害の状況や被害状況、防災対策情報、防災政策を伝えています。
・TEAM防災ページ
TEAM防災ジャパンの防災に関するコンテンツが掲載されたサイトです。
・政府広報オンライン 日頃の備えページ
政府広告サイトで、地震や津波等の災害に対する備えをわかりやすい動画で伝えています。
災害時に役立つ!情報収集サイト
災害時には、あらゆる情報が錯綜することになります。
中には嘘の情報や混乱を呼ぶような情報もあるでしょう。
多くの情報の中で、正しい情報を掴み、正しい行動を取るために、災害発生時には以下の公式な情報をチェックしてください。
・首相官邸(災害・危機管理情報) @Kantei_Saigai
災害情報や重大事件など、危機管理関連の政府活動情報を伝えています。
・首相官邸(被災者応援情報) @kantei_hisai
大規模な災害で被災した人に向けて、各省庁が発信している情報をリツイートしています。
・総務省消防庁 @FDMA_JAPAN
災害が発生した際の消防関連情報を伝えています。
・防衛省 @bouei_saigai
災害時の自衛隊の派遣状況や関連情報を伝えています。
・内閣府防災 @CAO_BOUSAI
災害情報や防災、減災情報を伝えています。
・気象庁 @JMA_kishou
災害警戒など危機管理関連の情報を伝えています。
最後に
いつ起こるかわからない地震に対し、日頃から備えておくことが大切ですね。
少し面倒かもしれませんが、一度やっておくと安心です。
家族とも内容を確認して、緊急時にも安全が確保できるようにしましょう。