雨漏り修理はコーキングでDIYできる!?|業者に依頼すべきケースも知って賢く補修しよう

雨漏りは、家のどこかに開いた穴や隙間から雨水が浸入して起こる不具合です。雨漏りを止めるには、穴や隙間を塞ぐ必要があります。
コーキング(シーリングと呼ぶ場合もある)を行えば、自分でも比較的簡単に雨漏り補修ができることもあります。

しかし、雨漏りの原因は多岐にわたるため、コーキングでは補修できないことも多いです。外壁のヒビや穴を埋めるだけのコーキングは、根本的な補修よりも応急処置に近いものです。

専門外の人が補修して、かえって不具合がひどくなったり、不十分な補修でさらに状態が悪化したりする恐れもあるので注意が必要です。DIYのコーキングで補修できる雨漏りは少ないと考えておきましょう。

この記事では、DIYのコーキングで補修できる可能性がある雨漏り箇所や、コーキングのやり方をご紹介します。
この記事を読めば、自分でコーキングを行うメリットやデメリット、業者に依頼したらいくらかかるかもわかります。また、雨漏りをDIYで補修するか業者に依頼するかの判断も簡単になるでしょう。

雨漏りの心配があるなら、ぜひこの記事を読んで早急に対応してくださいね。

コーキングで補修できる雨漏り

コーキングとは、充填(じゅうてん)剤で建物の穴や隙間を塞ぐ作業のことです。コーキング剤そのものを指して「コーキング」という場合もあります。
コーキングでは、穴埋めする場所や用途に応じて、異なる材質のコーキング剤を用います。

「雨漏りは穴や隙間を塞げばいいのだから、コーキングで解決する」と思いがちですが、どのような雨漏りもコーキングで補修できるわけではありません。専門家に修理を依頼すべきケースも多いです。

また、高所での作業には落下の恐れがあり、十分な安全対策をとることが難しいDIYでの作業は危険です。コーキングで修理できても、高所の雨漏り修理は自分で行うべきではないです。

では、コーキングで補修できる可能性がある場合を確認していきましょう。

サイディングの継ぎ目

サイディングのコーキング

サイディング※の外壁は、外壁材と外壁材の間にコーキング剤を充填し、雨水が浸入しないつくりになっています。しかし、このコーキングが劣化するとヒビや割れが生じ、そこから雨水が浸入するのです。

外壁に使用されるコーキング剤の耐用年数は、通常5~10年。外壁塗装に多く使われるシリコンタイプの塗料の耐用年数は8~15年です。
そのため、外壁塗装よりもコーキングが早く劣化するケースもあります。外壁からの雨漏りが疑われる場合は、継ぎ目をまずチェックしてみましょう。

※サイディング:セメントに繊維状の素材を混ぜて成型した外壁材

外壁のヒビ割れ

外壁ヒビ

雨漏りの原因箇所は屋根と思いがちですが、穴やヒビがあれば外壁からも雨漏りはします。外壁でヒビが入りやすいのは、ドアやサッシなどの開口部の角に接している部分です。地震などで家が揺れた時などに力がかかりやすいためです。

窓枠クラック

サイディングを固定するためのクギ穴からヒビが入っているケースもあります。
微細なヒビ(ヘアークラック)であれば、そこから浸水して雨漏りしている可能性は低いです。

しかし、放置すればヒビがひろがり、最終的には建物内部への浸水の恐れも出てきます。外壁のヒビは、放置せずに修理を行いましょう。

ベランダのヒビや外壁との取り合い

水平に近いベランダの平面部分(平場)は、雨水がとどまりやすい場所です。ヒビがあれば容易に雨水が浸入します。

また、ベランダと外壁が接している部分(取り合い)も、雨水が浸入しやすい箇所です。取り合いの隙間を埋めているコーキングが劣化したりヒビが入っている場合は、コーキングを打ち直すことで雨水の浸入を防止することができます。

ただし、ベランダの防水層全体が劣化したり塗膜がはがれたりしていれば、防水工事を行ったほうがいいでしょう。

DIYのコーキングで修理すべきでない雨漏り

ここまで読んで、DIYによるコーキング補修で対応可能な雨漏りが少なそうな点に驚く人もいるのではないでしょうか。
これは、高所など危険な場所での作業や雨漏りの状態がひどい場合などは、業者に依頼すべきだからです。
以下の場合の雨漏りは、DIYのコーキングで修理すべきでないです。

屋根などの高所

雨漏りの原因としてまず真っ先に思い浮かべる屋根ですが、DIYで修理すべきでない場所の筆頭でもあります。
高所での作業は危険であるため、専門業者には足場を組むなどの安全対策が義務付けられています。言い換えれば、専門家でも危険な場所で、素人が不十分な安全対策で作業すべきではないのです。

屋根の勾配が緩やかで、転落の危険が少ない場合も油断はできません。
スレート屋根や瓦屋根の上を歩いたり工具を落とすと、屋根材が割れたりヒビが入り、かえって不具合が広がることがあります。丈夫そうにみえる金属屋根も、屋根材自体は1mmに満たない薄い金属板であるため、不用意に上に乗ればへこみが生じることもあるのです。

原因箇所が不明の雨漏り

外壁やベランダにヒビを見つけても、そこが雨漏りの原因箇所であるとは限りません。人目につかない場所に雨漏りの原因となる穴やヒビがある可能性があります。複数個所から雨水が浸入している場合もあるでしょう。

雨漏り修理の専門業者は、さまざまな方法で雨漏りの原因箇所をつきとめます。

  • 目視調査(疑わしい場所を見て調べる)
  • 散水調査(水を撒いて、雨漏りが起こるかを調べる)
  • 発光液調査(調査用の特殊な液を疑わしい場所にかけ、雨漏りの状況を正確に把握する)
  • 赤外線サーモグラフィー調査(雨漏りで湿って温度が低い場所を赤外線カメラで特定する)

これらの調査をせずに雨漏り修理を行おうとしても、雨漏りの原因を正確に判明できない恐れや、他の雨漏りに気づけず放置してしまう恐れがあることに注意しましょう。

一部だけでなく、広範囲で劣化がみられる

家の築年数が古い場合は、コーキングで塞ぎたい箇所が1カ所ではなく広範囲にみられることが多いです。外壁全体の塗り替えが必要な場合や、外壁や屋根の内部が腐食している場合もあり、素人では手に負えないことがあります。

雨樋(あまどい)の詰まりから雨漏りしている場合もある

雨漏りの原因として見落としがちなのが、雨樋の詰まりです。
雨樋が詰まると、排水できずにあふれた雨水が軒先にかかり、屋根材を腐食させて雨漏りにつながることがあります。
雨樋の詰まりが雨漏りの原因であれば、コーキングによる修理ではなく、まずは雨樋の掃除をしましょう。

自分でコーキング補修をするメリットとデメリット

マルバツ札

コーキングは、使用する工具が少なくDIYでチャレンジしやすい修理方法です。
しかし、自分でコーキングを行うことにはデメリットもあります。

コーキングをDIYで行うメリットとデメリットを比較したうえで、自分で行うか業者に依頼するかを判断しましょう。

自分でコーキングをするメリット

費用が安く済む

自分でコーキングを行うメリットは、なんといっても費用です。
高価な機械や専門工具はほとんど必要ないので、材料や道具をすべてそろえても1万円まではかかりません。

専門業者に依頼した場合、材料費や出張費も含めて1万~5万円程度かかります。完璧に補修ができる自信があるなら、費用面のメリットは大きいでしょう。

自分のタイミングで作業できる

業者に依頼しても、仕事が立て込んでいるとすぐに対応してもらえないこともあります。材料さえそろえばすぐに修理に取りかかれる点も、DIYならではといえます。

業者のセールスにわずらわされない

一旦業者に依頼すると「付帯するサービスをあれこれセールスされるのがわずらわしい」と思う人もいるでしょう。自宅に業者が入るのが好ましくないと感じる人にとっても、自分で行うコーキングはメリットがあります。

自分でコーキングをするデメリット

失敗する可能性

コーキングの作業は一見簡単に見えますが、専門業者のように美しく仕上げるには多くのコツがあります。失敗すると、コーキングで修理した部分が悪目立ちして、家がみすぼらしく見えることも。

さらに、不十分な修理ですぐにコーキングが剥がれたり、コーキングする場所に適したコーキング剤を選択しなかったためにトラブルが起こったりする恐れもあります。
DIYでのコーキングは、早期剥がれややり直しになる恐れもあることを知っておきましょう。

上から塗装しないと修理箇所が目立つ

外壁のヒビを補修する場合、専門業者であればヒビを補修した後に上から塗装して補修箇所が目立たなくなるようにします。DIYでコーキング補修自体はできても、既存の塗装となじむ塗料を準備して仕上げることは、素人にはハードルが高いといえるでしょう。

作業できる場所が限られる

前述のとおり、高所での作業は落下などの危険が伴うため、DIYで補修するべきではありません。

雨漏りの原因が別の場所にあるのに気づかない

雨漏りの専門家が行う検査では、雨漏りから離れた場所から水が浸入していると判明することもあります。コーキングでうまくDIY修理ができたと思っていても、実は雨漏りの原因は別の場所だったり、雨水が浸入している場所が複数あったりすることもあるのです。

外壁や屋根の内部で進行するカビや腐敗に気づかない

雨水が家の内部に浸入し雨漏りが始まるまでに時間が経っている場合、屋根や外壁の内部が湿気でカビが生えたり腐敗したりしていることもあります。コーキングでヒビや穴を塞ぐだけでは、見えない内部などの場所の不具合に気づけず後に大きなトラブルになる恐れもあります。

屋根をコーキングしたら雨漏りが悪化した!?

瓦やスレートに隙間が開いているのを見つけ、「きっとここから雨漏りしているに違いない!」と安易にコーキングすると、かえって雨漏りの原因になる場合があります。

瓦やスレートなどの屋根材は一枚板ではありません。屋根材を重ねた部分から雨水が入り込んでも排出できるように隙間を開けています。この隙間をコーキングで塞いでしまうと、雨水が排出されずに屋根材と防水層の間にとどまり、結果として雨漏りにつながることがあります。

屋根の構造を理解しないまま、安易にDIYを行うことは危険なのです。

コーキングのやり方

DIYで行うコーキングで準備する材料や工具、手順を紹介します。

準備するもの

コーキング剤

シリコーンシーラント

※引用:セメダイン

まず必要となるのが、ヒビや穴、隙間を充填するコーキング剤です。材質にはいくつかの種類があり、コーキングを行う場所に応じて選択します。

●シリコーンタイプ
防水性に優れているため、室内の水回りで使用します。上からの塗装が難しいため、外壁には使用しません。

●変性シリコーンタイプ
上からの塗装が可能であるため、外壁の修理ではこの変性シリコーンタイプのコーキング剤を選択します。

●ウレタンタイプ
弾力性があるので、モルタルやコンクリート、木材など、吸水・乾燥することで膨張・収縮する材質の補修に使用します。ただし、耐久性に欠けるため、上から塗装を行ってコーキングを保護する必要があります。

コーキングガン

コーキングガン

※引用:モノタロウ

コーキング剤を絞り出すために使用する器具です。

プライマー

プライマーMP1000

※引用:セメダイン

コーキング剤を補修場所に密着させるために塗布する塗料です。

マスキングテープ

塗装用マステ

※引用:スリーエム

コーキングする隙間やヒビ以外の場所にコーキング剤がつかないように保護するテープです。

ヘラ、ハケ、ペンチ、カッター

ヘラは充填したコーキング剤の表面をならすのに使用します。
ハケは、プライマーを補修場所に塗る際に必要となります。
ペンチとカッターは、サイディングのつなぎ目に残っている古いコーキングを取り除く際に使用します。

コーキングの手順

隙間やヒビを埋める場合

  1. ヒビや隙間を清掃する
  2. ブラシなどでホコリや汚れを清掃します。水を使った場合は完全に乾燥してからコーキングを行いましょう。

  3. ヒビの周囲をマスキングテープで養生し、コーキング剤が不要な場所につかないようにする
  4. プライマーをヒビに塗布し、完全に乾燥させる
  5. コーキング剤を充填し、表面をならす
  6. コーキング剤が乾燥する前にマスキングテープを剥がす

外壁の材質によってはセメント粉などを使用したほうがよい場合もあります。
また、ヒビが深い場合には、ヒビの周囲をカッターでV字型やU字型に削ってコーキング剤をヒビの底まで充填できるようにする方法もあります(Vカット、Uカット)。ヒビの周囲をカットするためには専用の電動カッターが必要となるうえ、外壁を削って破損させる恐れがあるため、DIYで行うのはやめましょう。

サイディングの隙間のコーキングを打ち直す場合

  1. カッターやペンチで古いコーキングを取り除く
  2. 古いコーキングを取り除いた後の隙間をきれいに清掃する
  3. 隙間のきわにマスキングテープを貼って養生する
  4. プライマーを塗布する
  5. プライマーが乾燥したら、均一になるようにコーキング剤を充填する
  6. 充填したコーキング剤の表面をヘラでならす
  7. コーキングが乾く前にマスキングテープを剥がす

DIYでコーキングを行う際の注意点

部位に応じて適切なコーキング剤を選ぶ

外壁であれば変性シリコーンタイプのコーキング剤を選ぶのが一般です。
防水性能が高いほうがいいだろうと判断してシリコーンタイプのコーキング剤で修理すると、補修した上から塗装をしても、コーキング剤が塗料を弾いてしまうことで塗装できなくなることもあります。

モルタルやコンクリート外壁の微細なヒビであれば、コンクリート粉を埋め込んで補修したほうがよい場合もあります。

マスキングテープはまっすぐていねいに貼る

サイディングの継ぎ目に行うコーキングでは、マスキングテープをまっすぐきれいに貼ることが仕上がりを左右します。

コーキングが乾く前にマスキングテープを剥がす

コーキングが乾いてからマスキングテープを剥がすと、コーキングがマスキングテープに引っ張られ、ヘラで平らにならしたコーキングが変形したり剥がれたりする恐れがあります。養生に使用したマスキングテープは、コーキングが乾く前に剥がしましょう。

プロに雨漏り調査や修理を依頼する場合の費用

雨漏りを万全に修理しようと思うなら、専門業者に雨漏り調査と修理を依頼するのが望ましいです。そこで気になるのは、プロに依頼する場合の費用でしょう。

雨漏り調査にかかる費用

調査方法や調査する範囲によって異なるため一概にはいえませんが、10万~20万円前後が調査の相場となります。

調査だけで10万円以上と聞くと高額に感じますが、雨漏りを見落とせば家屋の劣化が進行し、より大規模な補修が必要となる可能性もあります。将来にわたって安心して住み続けられる住まいにするためには必要な費用と考えましょう。

雨漏り修理にかかる費用

雨漏りの修理は、雨漏りの原因や不具合の範囲や程度によって費用が大きく異なります。
ずれた瓦を直したり、外壁の一部にできたヒビを補修したりするだけなら、10万円前後で収まる場合もあるでしょう。

しかし、外壁や屋根全体を塗装し直したり、屋根の葺き替えや重ね葺きまで行ったりする場合は100万円以上かかると見込んでおく方がいいです。

なお、プロに雨漏りの修理や修理を依頼した場合の費用については、以下の記事でくわしく紹介しています。

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2023.10.12
イエコマ編集部

引き渡しから10年以内の新築なら保証が使える場合もある

保証書

一般の日本家屋は木造なので、雨水の浸入は家屋の耐久性や安全性を脅かします。なぜなら、家の内部や基礎の木材が湿ってカビによる健康被害が生じたり、腐敗菌が繁殖して木材が腐ったりするからです。
最悪の場合、耐震性能が低下したり倒壊したりする恐れがあるのです。

消費者保護の観点から、2000年4月に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施工されました。この法律により、住宅会社は施工から10年間は、住宅の主要な構造部分と雨水の浸入を防止する部分について、性能を維持する義務「瑕疵(かし)担保責任」があります。万が一、住宅を購入した際の事業者が倒産していた場合でも保証の対象となるので、消費者には心強い法律です。

住宅購入から10年以内であれば、自分で修理したり専門業者に連絡したりする前に、まずは住宅販売会社に連絡をとってみましょう。

まとめ

コーキングによる雨漏り修理は、DIYでも行える可能性があります。しかし、雨漏りが住宅に及ぼす影響の大きさを考えると、場当たり的に目についたところだけ直すよりも、専門業者に依頼したほうが安心です。
築10年以内の築浅の住宅であれば、雨漏りは瑕疵担保責任の保証対象となることも踏まえ、適切に対処しましょう。

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