コンセントに電源プラグを挿したとき、一瞬「パチッ」と火花が出た経験はありませんか。問題ないケースもありますが、間違った家電製品の使い方をしている場合やコンセント周りを掃除した方がよい場合もあります。
今回はコンセントから火花が出る原因についてくわしく解説。火花によってコンセントが焦げた場合の対処法や、火花の危険性と予防方法についても説明します。
火花が原因でコンセントが故障したり、火事や事故に発展したりする恐れもあります。安全に電化製品を使うためにも、この記事を参考にコンセントからの火花を予防しましょう。
コンセントから火花が出る原因
コンセントにプラグを挿し込むときに、一瞬「パチッ」と火花が出ることがあります。対策するためにも、まずは火花が出る主な原因を知りましょう。
トラッキング現象が起きた
コンセント周りやプラグに付着したホコリが原因で、火花が発生することがあります。
ホコリには湿気や水分をため込む性質があります。コンセント周りやプラグにホコリが付着したままの状態で通電させると、水分を含んだホコリに漏電(本来のルートを外れて電気が流れること)して、火花が発生するのです。
この現象は「トラッキング現象」と呼ばれ、発熱・発火し、周りの家財などに燃え移って火災に発展する恐れもあります。
とくにテレビなどの電化製品の裏側は静電気が発生しやすく、ホコリがたまりやすい環境なため、注意が必要です。
たこ足配線をしていた
たこ足配線が原因で、火花が発生することがあります。
たこ足配線とは、挿し込み口がたくさん付いた電源タップや延長コードを利用して、ひとつのコンセントにたくさんのプラグが挿してある状態のことです。大量の電流がひとつのコンセントに流れるため、火花が発生しやすくなります。
ひとつのコンセントで消費できる電気の容量は決まっており、一般的には1カ所あたり1500ワットまでです。例えば、朝食で同時に使いがちなコーヒーメーカー(600ワット)とオーブントースター(1000ワット)では、もう1500ワットを超えてしまいます。それ以上の電流が流れると火花が発生しやすくなり、発熱や発火の恐れもあるため、大変危険です。
さらにたこ足配線は、コンセントとプラグの接点が増えます。挿しっぱなしにするとホコリがたまりやすいため、トラッキング現象が起こりやすいのも特徴です。
電気を通す異物があった
髪の毛やホッチキスの針など、電気を通す性質のものがコンセントとプラグの間に挟まることでも火花が発生します。
以下のような場合に通電が起こり、火花が発生する可能性があります。
- ホコリなどに混じって異物がコンセント周りにある
- 異物が付着しているプラグをコンセントに挿した
- 子どもがいたずらでヘアピンや針金などをコンセントに差した
- コンセントにプラグを挿すとき、間にアース線などを挟んでしまった
強い電気が急激に流れると、大きな火花が飛び散り、ショートを起こしてブレーカーが落ちることもあります。ショートとは予期していない場所を電気が通ることで、大きな電流が流れてしまう現象です。短絡とも呼ばれ、発熱や発火の可能性があり、大変危険です。
家電の電源が入っている状態でプラグを抜き挿しした
家電製品の電源が入った状態でコンセントにプラグを挿すと、その瞬間に大きな電流が流れて、火花が発生することがあります。同じように、電源が入った状態でいきなりプラグを抜いた場合も、プラグとコンセントの間に放電が起こり、火花が発生する可能性があります。とくにドライヤーや電子レンジなどの消費電力が大きい家電製品で、起こりやすいトラブルです。
ただしスイッチのない携帯電話の充電器などは、コンセントに接続するだけで通電し、大きな電流が流れるのが特徴です。
火花が発生しやすいですが、機器の故障やトラッキング現象が原因ではありません。コンセントとプラグの間にある空気で放電がおきるため、プラグはゆっくりではなく、すばやく挿したり抜いたりするように心がけましょう。
電圧が高いときにプラグを挿した
プラグを挿したときに、電圧の変化でたまたま高電圧であった場合に、火花が発生することがあります。
家庭の電流には「交流」が採用されており、電流の向きや電圧が定期的に変わる仕組みになっています。電圧は高い状態と低い状態を繰り返し、コンセントに高圧の電気が流れるタイミングがあるのです。
このとき、たまたまプラグを挿しこむことで、火花が発生する可能性があります。
火花が発生するのは、コンセントからだけではありません。電源コードが損傷している場合は、コードの破損箇所から火花が出ることがあります。
コードの損傷により内部の導線が断線して接触などが起きると、電流が流れたときに漏電が起こります。漏電した箇所が放電すると火花が出て、異常に発熱したり発火したりすることがあるのです。
以下のような場合に、コードが断線する可能性があります。コードの扱いに気をつけましょう。
- ドアの隙間やほかの電化製品にコードを挟んだ
- プラグ本体ではなく、電源コードを引っ張って抜くことがある
- コードが強く引っ張られた状態で使用する
- コードをきつく縛ったり、曲げたり束ねたりして収納する
焦げたコンセントは交換が必要
コンセントが焦げた場合は、新しいコンセントに交換が必要です。
コンセントの修理や交換は電気工事士の資格が必要なため、業者に依頼する必要があります。
コンセントが焦げた場合や焦げた匂いがする場合は、以下の対処を速やかに行いましょう。
- 1. コンセントが焦げた部分の安全ブレーカーを落とす
- 2. 持ち家の場合は、業者にコンセントの交換を依頼する。賃貸物件の場合は、管理会社や大家さんに連絡する
- 3. 漏電の恐れなどがあるため、コンセントを交換するまで使用しない
まずは安全を確保するために、コンセントが焦げた部分の安全ブレーカーを落とします。該当箇所の安全ブレーカーのみを落とせば、ほかの部屋の電気は普段通り使用することができます。
安全ブレーカーの落とし方については、以下のコラムでくわしく確認してください。
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賃貸物件に住んでいる場合は、自分で業者に修理依頼をしてはいけません。はじめに管理会社や大家さんに連絡をして、対処法を相談してください。
持ち家の場合は、すぐに電気工事会社に連絡しましょう。自分ではコンセントが焦げているか判断できない場合も、業者に確認してもらいましょう。
コンセント交換にかかる費用相場は3,500~10,000円程が目安です。コンセントの破損具合によって配線の修理や交換が必要な場合は、さらに費用が高くなる可能性があるでしょう。
コンセントの火花の危険性
コンセントの火花によってコンセントが焦げるだけではなく、さらに以下のようなトラブルに発展する恐れもあります。
火災に発展する恐れがある
コンセントの火花が原因で発熱・発火し、周辺に燃え移ることで火災に発展する恐れがあります。
とくに注意したいのが、トラッキング現象です。トラッキング現象による火花によって発熱し、さらに発火して火災に発展する事故が増加しています。
たこ足配線はトラッキング現象が起こりやすい原因のひとつです。
「【注意喚起】5年で2倍、配線器具の火災事故に注意!(PR TIMES)」によると、タップや延長コードからの火災は毎年発生しています。2019年から2023年の5年間に起きた配線器具の火災事故は126件で、2023年は2019年の発生件数の約2倍になっています。
感電事故
コンセントで火花が起きたときは、感電事故にも注意が必要です。
火花によってプラグを持っていた手や指にやけどなどを負ったり、電流が体に流れて体の内部組織を損傷したりする恐れがあります。とくにお風呂上がりや汗で肌が濡れているとき、手を洗って拭かずに濡れている場合は、電気が通りやすい状態です。
感電は死亡事故が起こる恐れもあり、大変危険です。
コンセントの火花の予防方法
コンセントの火花を防ぐには、普段のお手入れや正しい電化製品の使い方が大切です。安全に生活するためにも、コンセントの火花の予防方法を知っておきましょう。
たこ足配線をしない
複数のプラグを挿せるようになるため便利な延長コードですが、1カ所に流れる電流が集中してしまいます。
その分、火花が起こりやすく、漏電や火災の危険性が高まります。コンセントとプラグの接点が増えるため、トラッキング現象も起こりやすいのが特徴です。
ひとつのコンセントに使用できる電気の容量は決まっています。できる限りたこ足配線は避け、使用しない電化製品はコンセントから抜いて片づけるようにしましょう。
どうしてもコンセントの数が足りない場合は、挿し込み口を増やすための、コンセントの増設工事を検討しましょう。
ホコリなどの汚れがたまらないように掃除する
コンセント周りにホコリや電気を通す異物があると、火花が発生する恐れがあります。ホコリなどの汚れをためないように、こまめに掃除することが大切です。乾いた布や掃除機を使って掃除しましょう。
とくにテレビや冷蔵庫など、プラグを挿したままで使用する電化製品には、コンセント周りにホコリがたまりやすいです。年に1度はプラグを抜き、コンセント周りやプラグの汚れを取り除きましょう。
安全機能付きタップを使用する
コンセントの数が足りないため、電源タップを使いたい場合もあるでしょう。以下のような安全機能が付いたタップを使用するのがおすすめです。
- 漏電や電気の使い過ぎをコンセント側で遮断する、漏電保護機能付きのタップ
- 挿し込み口にホコリ防止機能が付いたタップ
- 挿し込み口ごとに、電源のオン・オフを切り替えるスイッチ付きのタップ
また、電源タップの寿命は約5年といわれています。使い続けるうちに劣化して、配線やコードが破損する可能性があるのです。1年に1度は異常がないか点検をして、寿命がくる前に新しいものに交換しましょう。
家電製品の扱い方に気をつける
コンセントをプラグに抜き挿しするときなど、家電製品の使い方に注意することで、コンセントからの火花を予防できます。
コンセントや電源コードからの火花を防ぐためにも、家電製品を扱う際は以下の点を注意しましょう。
- 家電製品を使用した後は電源をオフにしてから、プラグを抜く
- 使用前に電源がオフであることを確認してから、プラグを挿す
- 断線の疑いがある家電製品は使用しない
- コンセントから抜くときは、コードを引っ張るのではなくプラグの本体を持つ
- 電化製品のコードは束ねたまま使わない
- 電化製品を片づけるときは、コードを曲げたりきつく縛ったりしない
また、洗濯機や冷蔵庫などのアース付きのコンセントがある家電製品は、アースを使いましょう。水回りなどで漏電したときに電気を地面に逃がし、感電事故を防ぐことができます。
アース付きコンセントについてくわしくは、以下のコラムを参考にしてください。
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トラッキング防止グッズを使う
トラッキング現象を防止するためのさまざまなグッズが販売されています。以下のようなアイテムを使えば、コンセントにホコリが付着するのを抑えられるでしょう。
- ホコリや異物をブロックする、コンセントキャップ
- 電源プラグに装着するトラッキング予防のための安全カバー
- ケーブルやタップを収納するボックス
まとめ
コンセントから火花が出る主な原因は、以下のとおりです。
- トラッキング現象が起きた
- たこ足配線をしていた
- 電気を通す異物があった
- 家電の電源が入っている状態でプラグを抜き挿しした
- 電圧が高いときにプラグを挿した
コンセントが焦げた場合は、新しいコンセントに交換が必要です。交換には資格が必要でDIYでは対処できないため、業者に依頼しましょう。
火花が原因で火災や感電事故に発展する恐れもあるため、火花が発生しないように予防することが大切です。コンセントの数が足りない場合は、安全機能付きタップを使用したり、コンセントの増設をしたりするなどの対策をしましょう。