雨漏りが発生したら、被害が拡大する前に修理することが大切です。雨漏りしたらすぐ対処できるよう、雨漏りの原因を特定する調査方法について知っておきましょう。
今回は雨漏りの調査方法の1つ「赤外線サーモグラフィー調査」について説明します。
赤外線サーモグラフィー調査のメリット・デメリットや、調査に向いている条件、注意点などもくわしく確認しましょう。
目次
赤外線サーモグラフィー調査について
赤外線サーモグラフィーは、対象物から出ている赤外線放射エネルギーを検出して温度を測定し、画像で表示する装置です。
赤外線サーモグラフィーを用いて雨漏りを調査する方法があります。
赤外線サーモグラフィー調査とは
赤外線サーモグラフィーを使った雨漏り調査を「赤外線サーモグラフィー調査」といいます。建物を赤外線カメラで撮影すると、建物や設備などの温度が色分けされて画面上に表示されます。
雨漏りして濡れた場所は、蒸発するときに周囲の熱を奪って気化します。雨漏りしている箇所が周囲よりも温度が下がって冷たくなる原理を利用して、建材の温度差により雨漏りの原因箇所を突き止める方法です。
赤外線サーモグラフィー調査の手順
赤外線サーモグラフィー調査の手順は以下のとおりです。
- 1.事前調査
- 現場を下見し、現地の状況や障害物の有無を確認します。
障害物や建物からの距離を考えながら撮影カメラを置く測定点を決め、調査の計画を立てます。
- 2.調査
- 建物を赤外線カメラで撮影します。
- 3.データ解析
- 撮影したデータを元に解析して、雨漏り箇所を特定します。
- 4.診断書作成
- 解析結果から診断書を作成して報告します。
メリット
赤外線サーモグラフィー調査には、多くのメリットがあります。
建物と非接触で調査可能
赤外線サーモグラフィー調査は、建物から離れた場所で調査を行います。音や振動、ホコリ、臭気など、住む人がストレスや健康被害を受けることなく調べることが可能です。
調査員は離れた場所から調べるので、調査中も居住者はプライバシーを気にすることなく、普段通りの生活を送ることができます。
調査器具などで、建物を傷つける心配もありません。
足場が必要ない
2階以上の外壁や屋根を直接調べる場合は、足場を組む必要があります。足場を組むと、調査費用に加えて足場代が20万円ほどかかります。
しかし、赤外線サーモグラフィー調査は足場を組む必要がありません。足場代に費用をかけずに済みます。
業者は危険な高所での作業をすることなく、安全に調査ができます。
作業が短時間
赤外線サーモグラフィー調査は現地での作業が短時間(1時間~数時間ほど)ででき、広範囲の調査を行うことが可能です。
正確性が高く客観的な診断ができる
赤外線サーモグラフィーでは、不具合の生じている箇所が、画面上で色分けされて表示されます。画像を見れば雨漏り箇所が一目瞭然で正確性が高く、客観的な診断が可能です。
デメリット
メリットの多い赤外線サーモグラフィー調査ですが、デメリットもあります。
天候・建物の仕上げ材の影響を受ける
赤外線サーモグラフィー調査は、天候や建物の仕上げ材の影響を受けます。建材の表面温度が高すぎる、または低すぎるなど温度差が生じづらい状況では、正確な測定ができません。
低気温時や悪天候時、日光が当たらない場所などは、雨漏り箇所も雨漏りしていない箇所も低温で温度差が生じづらいため、測定が難しくなります。
外壁に日光が反射しやすいタイルを貼っていて高温になる場合も、正確な診断ができません。
濡れた状況でしか調査できない
赤外線サーモグラフィー調査は、雨漏りで浸入した雨水が蒸発するときの気化熱を利用して、雨漏り箇所を特定します。雨漏りして濡れた状況でなければ調査できないため、散水調査後または雨が降った直後に調べなければなりません。
天候によって調査の中止や延期となる場合があります。
相場
赤外線サーモグラフィー調査は200,000円ほどが相場です。
赤外線サーモグラフィー調査は万能ではない
赤外線サーモグラフィー調査の精度は、いつでも高いわけではありません。条件がそろっている場合に確実性が高くなります。
赤外線サーモグラフィー調査の精度
赤外線サーモグラフィー調査の精度は、建物の状況や調査する人の力量に左右されます。
建物の状況や環境が調査に向いているかどうか
赤外線サーモグラフィー調査には、向いている建物と向いていない建物があります。調べる建物の立地環境や周りの状況、太陽光の当たり具合、建材などにより、精度が変わります。
調査する業者に技術力があるかどうか
赤外線サーモグラフィーを用いた調査は、雨漏り以外にも、漏水調査や外壁の浮き、クラックといわれる外壁のひび割れの調査に利用されます。建物を客観的に撮影し、温度分布から不具合の原因が雨漏りかどうかを判断しなければなりません。
業者には精度の高い撮影と、正確に分析できる知識や経験・技術力が求められます。赤外線カメラがあれば誰でも調査できるわけではありません。
赤外線サーモグラフィー調査に向いている建物条件
赤外線サーモグラフィー調査に向いているのは、以下のような建物です。
- 前面道路(建物の敷地に接する道路)に建物が面している
- 建物が角地に立地している
- 隣の建物との距離が5m以上離れている
- サッシや壁際から雨漏りが発生している
赤外線サーモグラフィー調査に不向きな建物条件
以下のような建物は赤外線サーモグラフィー調査に向いていません。
- トタンやガルバリウムなど、屋根が金属製である
- 隣の建物との距離が4m未満である
- 建物の周囲が別の建物や電線・木などに囲まれている
赤外線サーモグラフィー調査の注意点
赤外線サーモグラフィー調査の注意点をチェックしましょう。
調査は業者に依頼を
雨漏り修理は数十万円~数百万円と高額になるケースが多く、赤外線カメラをレンタルして自分で調査しようと考える方もいます。
しかし、赤外線サーモグラフィー調査の精度は、調査する人の技術力に左右されます。建物の構造を熟知していなければ、赤外線カメラを使っても雨漏りによる温度差かどうかが判断できません。
素人では画像を分析することが難しいでしょう。
散水調査と併用する
赤外線サーモグラフィー調査は、雨漏りが起きて濡れている状況で調査しなければなりません。また、赤外線サーモグラフィー調査だけでは、雨水の浸入位置まで正確に調べられない場合があります。
散水調査と併用して調査を行うことで、より精度の高い雨漏り調査が可能になります。
その他の雨漏り調査の方法
赤外線サーモグラフィー調査以外にも、雨漏り箇所を特定する調査方法があります。
雨漏り調査の方法について、くわしくは以下のコラムをご参照ください。
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雨漏りの被害についてくわしくは、次のコラムで確認しましょう。
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雨漏り修理には火災保険が適用になる場合も
雨漏り修理は高額になるケースが多いです。しかし、火災保険が適用になるケースもあります。
費用がないからと修理を諦める前に、保険が適用されるかチェックしましょう。被害にあった家財も補償される可能性があります。
雨漏りが火災保険に適応できるケースについてくわしくは、以下のコラムでご確認ください。
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まとめ
今回は雨漏りの調査方法の1つ「赤外線サーモグラフィー調査」を紹介しました。
正確性の高い赤外線サーモグラフィー調査ですが、建物の状況によっては調査に向いていない場合があります。また調査する職人の技術力にも左右される調査方法です。
雨漏り修理は原因を特定することが難しい作業です。赤外線サーモグラフィー調査と散水調査を併用することで、より高い精度の調査を行うことができます。
実績と経験が豊富な「イエコマ」では、「屋根・雨漏り診断」を承っております。
現在雨漏りをしている方や、もしかしたら雨漏りしているかもとお悩み中の方は、お気軽にイエコマへお問い合わせください。