瓦屋根では、瓦そのものの割れやズレのほか、屋根下地や雨どいなどの損傷で、雨漏りが起こることがあります。
瓦屋根の雨漏りが気になったら、早めに原因を明らかにして修理をすることが大切です。安易なDIYでは修理が十分でなかったり、万が一、落下事故が起これば命の危険を伴うことになったりすることがあります。そのため、瓦屋根の雨漏り修理は、知識や技術を備えた専門業者に依頼をすることがおすすめです。
瓦屋根の雨漏りの原因と、その修理費用について知り、納得できる業者を選びましょう。
目次
瓦屋根の雨漏り修理の方法と費用
瓦屋根の雨漏りの修理方法は、雨漏りの原因によって異なります。また、家の構造や修理部分の状態、修理工程や足場設置の有無など、個々の条件によって費用も変わるでしょう。
あくまでも目安ですが、部分修理の場合と全体リフォームの場合の費用を紹介します。
部分修理
瓦屋根の部分修理には、次のようなものがあります。おおよその相場は20万〜35万円程ですが、足場設置代が必要となったり、修理部分が多くなったりすれば、その分費用が高くなります。
瓦の補修・差し替えや並べ直し
損傷した瓦を放置していると、損傷した隙間から屋根の内側まで少しずつ雨水がしみ込んでいきます。ヒビの補修や、新しい瓦に差し替えをすることが必要です。また、瓦がズレていても、すきまができてしまい、雨水の浸入の原因となります。ズレの程度によりますが、部分的に並べ直しを行います。
漆喰(しっくい)の塗り直し
漆喰は瓦を固定するための接着剤のようなものです。漆喰は7〜10年ほどで劣化がみられることがため、その場合には、塗り直したり詰め直したりすることが必要です。
屋根下地や防水シートの補修
屋根下地は、屋根の基礎になる部分です。一般的には野地板の上に防水シートを張ります。損傷の程度によっては、部分修理で済むことがあります。
棟瓦(むねがわら)の補修や交換
棟瓦は、瓦屋根の頂上にあたる部分にある瓦です。屋根が合わさる部分を覆うことで、雨水の浸入を防ぐ大切な部分です。瓦そのものの補修のほか、漆喰の修理も行います。
雨どい(雨樋)の修理
雨どいは、屋根の水を1カ所に集めて地上に流すことで、外壁に水が流れおちることを防いでいます。 雨どいが破損すると、雨水が外壁を必要以上に濡らすことがあります。そのために外壁が劣化し、雨漏りを生じることがあるため、早めの修理が必要です。
全面リフォーム
屋根全体に関わるような大規模な修理は、次のような方法があります。屋根の広さや、使用する足場の大きさ、使用する瓦の価格などの条件によって異なります。また、全面リフォームでは、足場設置がほとんどの場合において必要となります。
相場は総額で約60万〜250万円と幅があります。
瓦の葺き換え(ふきかえ)
古い瓦は廃棄して、新しい瓦に交換をする方法です。屋根下地の補修または交換や、古い瓦の廃棄費用などもかかります。
瓦の葺き直し(ふきなおし)
古い瓦を再利用します。古い瓦を一度下ろして、屋根下地を整えた後に、再び瓦を並べ直します。
カバー工法
古い屋根の上から新しい屋根材をかぶせる方法ですが、瓦屋根の場合は対応できません。
雨漏りの調査で行われる方法は?
雨漏り調査の方法は、目で確かめる目視調査のほかにも、いくつかの方法があります。水をまいて雨を再現し、雨漏りの状態を確認する散水調査や、ドローンを使って上空から屋根を確認する調査など、必要に応じて行われます。
それぞれのくわしい内容や相場について知りたい方は、次の記事を参考にしてみてください。
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信頼できる業者を見つけるためには
雨漏りの修理を請け負っていても、業者によって費用や得意分野は異なります。また、中には悪徳業者もいるため、契約前には十分な検討を行い、納得したうえで契約をしましょう。
相見積もりは必須
相見積もりとは、同じ条件のもとで複数の業者に見積もりを出してもらい、内容を比較することです。
価格のほか、アフターフォローの有無や工期、作業工程などを確認することにもつながります。また、比較をすることで疑問点を見つけやすくなります。
詳細な内容が示されているかどうかチェック
信頼できる業者を見極めるためには、見積もり内容の詳細さもポイントです。
細かく表記せずにまとめてしまうことで、価格操作が行われる可能性もあります。また、作業工程をわからなくして、手抜き工事を行うということもあるかもしれません。使用する資材の単価や量のほか、作業工程ごとの費用など、具体的に記載されているかどうか確認してみましょう。
また、アフターフォローの有無も確認しておくことが大切です。アフターフォローに対応していない業者では、仮に工事後に不具合が生じると追加費用がかかってしまいます。結果として他社よりも費用面だけではなく時間的にも負担が大きくなったということがないようにしましょう。
契約を急ぐ業者は要注意
大幅な値引きを提示したり不安をあおったりして、契約を急ぐ業者には要注意です。
また、「火災保険や、自治体の助成金などを使えば無料になる」とセールスをするケースも注意しましょう。火災保険や助成金は、加入している保険や自治体によって条件が異なり、必ず無料になるとはいえません。
少しでも早く雨漏りを修理したいものですが、契約は急ぐ必要はありません。悪徳業者と契約しないために、今は契約しないとはっきり断り、冷静に考える時間をとりましょう。
瓦屋根の工事に関わる資格があるか
専門業者と称していても、瓦屋根の工事について本当に高い技術や知識を持っているかどうかを判断することは難しいものです。そこで、判断基準のひとつとして、次のような資格について確認をしてみるのもひとつの方法です。
かわらぶき技能士
国家資格です。試験は学科と実技があり、瓦屋根工事に必要な知識と技術を備えていることを証明します。
※参考:技のとびら かわらぶき技能士
瓦屋根工事技士
一般社団法人全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が認定する資格です。屋根の施工に関する知識のほか、建築や安全、法規などの知識が求められます。
瓦屋根診断技士
一般社団法人全日本瓦工事業連盟(全瓦連)が認定する資格です。かわらぶき技能士と瓦屋根工事技士の両方の資格を備えている必要があり、瓦屋根工事の資格では最上位資格といえます。
災害後の雨漏りは火災保険を確認しよう
台風や暴風といった災害のあとに雨漏りが起こったときは、加入している火災保険を確認しましょう。契約している保険によりますが、家財なども補償の対象となることがあります。
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瓦屋根の雨漏りの原因
雨漏りは長い年月をかけて起こるものもあれば、災害のあとに突然起こるものもあります。瓦屋根の家屋で、雨漏りが起こる原因には次のようなものがあります。
瓦の破損やズレ
瓦のヒビや欠け、割れが起こると、すきまから雨水が家の内部に入り込みやすくなります。また、瓦はすきまなく並んでいることで、雨水の浸入を防いでいますが、ズレが生じると、すきまから雨水が浸入して雨漏りの原因になります。
棟瓦(むねがわら)の破損
棟瓦は、屋根の最も高い場所を覆っている瓦のことです。棟(むね)は複数の屋根を結合している部分にあたるため、棟瓦のズレや破損は、雨水の浸入を招く可能性があります。
棟部分の漆喰(しっくい)の劣化
棟瓦は、ただ乗せるだけではなく、漆喰で固定されています。漆喰が劣化することで棟板金がズレたり、水が家の中に入り込みやすくなったりします。
外壁との接合部の劣化
外壁と屋根の接合部はすきまが生じやすく、雨水が浸入しやすい場所です。そのため、雨水が入り込まないように、漆喰を詰めたり、雨押え板金と呼ばれる金属板を貼ったりします。この結合部が劣化すると、雨水が家の内部に入り込む可能性があります。
屋根下地の劣化
屋根下地は、屋根の基礎にあたる部分です。野地板(のじいた)の上に防水シートを張り、桟木(さんぎ)と呼ばれる木材を打ち付けます。瓦はこの桟木に引っ掛け、くぎを打って固定します。
野地板や防水シートの寿命は30〜40年といわれ、湿気や腐食によって雨漏りが起こります。
瓦が破損するきっかけ
瓦が破損するきっかけは、次のようなものがあります。
経年劣化
瓦は非常に耐久性が高い屋根材です。土を高温度で焼き上げるため硬く、さびることもありません。しかし、どんなに高い耐久性を持っていても、年数の経過とともに欠けや割れといった劣化は起こります。
台風など強風のあと
瓦は、耐久性は高いのですが、硬いものがぶつかるなどの衝撃には弱い屋根材です。台風や強風の影響で何かが飛んできてぶつかり、瓦が欠けたり落ちて割れたりすることは起こります。小さな割れや欠けであっても、すきまから少しずつ雨水が染み込むことで、家の内部まで水が入り込み、雨漏りの原因となります。
地震
瓦は一定の方向で並べられることで、屋根としての機能を果たしています。地震が起こると、隙なく整然と並んでいたところがズレることがあります。大きな地震で急にズレることもあれば、小さな地震が繰り返されることで、少しずつズレることもあります。
人が踏む
瓦は耐久性が高い屋根材ですが、狭い場所に衝撃が加わることについては弱い屋根材です。物がぶつかるだけではなく、自分で屋根の点検や修繕などをしようとして瓦屋根の上を歩くことで割れることがあります。
雪
屋根に降り積もった雪が滑り落ちる際に、瓦を引きずって落ちてしまうことがあります。また、雨どいを巻き込んで壊すこともあります。
凍害
瓦は土を焼いてつくられており、水を完全にはじくことはできません。瓦にしみ込んだ水が凍ることで膨張し、溶けては縮んで、を繰り返しているうちに、瓦にヒビが入ったり表面が剥がれたりすることがあります。
くぎのサビ
瓦を固定するくぎにサビが生じると、ヒビや割れの原因となります。屋根下地の上に防水シートを敷いたあと、桟木と呼ばれる木材を打ち付けます。瓦は桟木に引っ掛けるように並べ、くぎを打って瓦を固定します。このくぎにサビが発生して膨張することで、瓦のヒビや割れにつながります。
雨漏りの可能性があるサインは?
雨漏りは、水がポタポタと天井から落ちてくるといったわかりやすいものだけではありません。天井のシミが広がってきたり、カビの匂いが気になったりする状態も、もしかしたら雨漏りが原因かもしれないのです。
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安易なDIYはリスクが大きい
家の中のさまざまなトラブルも、DIYで補修すれば費用は抑えられます。しかし、瓦屋根の雨漏りの修理では、安易なDIYはリスクが大きいことを知っておきましょう。
命に関わる事故が起こることもある
瓦屋根の雨漏りの修理は、高所での作業です。万が一、落下事故がおこれば、その後の人生に関わるような大きなけがをしたり、最悪のケースでは命を落としたりすることもあります。安易なDIYは大きなリスクがあるため、おすすめしません。
必要な修理が不十分なこともある
雨漏りは、屋根下地や漆喰など、瓦に隠れて目に見えない部分に原因があることもあります。原因をしっかりと確認しないままに対処することは、雨漏りの被害を大きくする可能性があります。
専門業者は、それぞれの家屋に適した足場を設置し、安全に配慮した上で作業を行います。また、雨漏りの原因を明らかにしてから、必要な補修方針を検討します。費用だけに注目するのではなく、その後の暮らしも考えた上で、後悔のない選択をしましょう。
まとめ
瓦屋根は、経年劣化のほか、台風や地震、積雪などをきっかけにして雨漏りが起こることがあります。
雨漏りは放置すると、外壁や柱など、家全体の劣化にもつながるため、早めに対処することが大切です。
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