天井を見たとき、うっすらと黒いシミが広がっていることはないでしょうか?
「それほど大きなシミではないから様子をみよう」
「ちょっと汚れたくらいなら気にしない」
などと考えて天井のシミを放置すると、大きなトラブルにつながるおそれがあります。
もしも今、あなたの住まいに天井のシミがあるなら、この記事を読めばシミができる原因やその対処法がわかります。ぜひ早急に対処してくださいね。
目次
天井にシミができる原因
まずは、天井にシミができる原因を順番にみていきましょう。
雨漏り
天井にシミができる原因として、まず考えられるのが“雨漏り”です。
雨が降るとポタポタと音がしたり、シミの部分から水滴がしたたり落ちたりするなら、雨漏りと考えて間違いないでしょう。
屋根や屋上の防水機能が損なわれ、雨水が屋内に浸入しているサインです。
ただし、雨漏りは2階の屋根だけでなく、サッシのコーキング(目地)部分や外壁のヒビなどでも生じるおそれがあります。
そのため、「シミがあるのは1階だから大丈夫」と判断するのは早計です。
2階の天井以外でシミが出た場合でも、雨が降るたびにシミが広がる・濃くなるなどの場合は早急に専門家に調査を依頼しましょう。
結露によるカビ
冬の寒い時期、窓ガラスやサッシが水滴で濡れているのを見たことはないでしょうか。それは、結露です。
屋内と屋外の気温差によって生じる結露ですが、住宅の構造や材質によっては天井や屋根裏にも結露が生じます。その水分がカビの原因となり、天井にシミを作る場合があります。
外気温を伝えやすい金属屋根で、断熱材を使用していない
金属は熱の伝導性がよく、外気の温度を屋根に伝えやすいです。最近の金属製の屋根材は裏面に断熱材が入っているので、寒暖差の影響が小さくはなっています。しかし、断熱材が入っていない屋根では要注意です。
屋根裏の断熱や換気が不十分
室内の温かい温度や湿度は天井を通じて屋根裏に達します。屋根裏の換気や断熱が不十分だと、結露が生じやすくなります。
屋根裏がなく、屋根の下が居住スペースになっている
屋根裏スペースには、外気と室内の温度を調整する効果があります。屋根裏スペースも居住スペースとして利用している場合、天井のすぐ上は屋根です。
この状態は外気が室内に伝わりやすい上、室内の温かく湿った空気が屋根のすぐ下にたまり、温度差で結露が生じやすいです。
天井に使用されている合板の接着剤が沁み出す
一見すると木の板に見えても、実は木目が印刷されたシートを貼りつけた合板である場合があります。このシートを貼りつけるための接着剤が、時間が経つにつれてシミとして浮かび上がる場合があります。
階上の水回りで水漏れ
2階にキッチンやお風呂がある場合、水回り設備やその配管から水が漏れている可能性があります。
エアコンからの水漏れ
「エアコンは水を使わないのになぜ?」と思う人もいるでしょう。エアコンの冷房運転では、室内の温かい空気に含まれた水蒸気が冷やされることによって水に変わります。
この水は、ドレイン管を通じて屋外に排出されます。ただし、エアコンの取り付け方やドレイン管に不備があると、水はエアコンの室内機から室内にしたたり落ち、壁の内部に流れてしまうのです。
天井のシミがある部分の上にエアコンが設置されている場合は、エアコンの水漏れも疑ってみましょう。
動物のフンや尿
天井にシミが現れるだけでなく、悪臭もしたり、なにかが天井裏を歩き回る音がしたりするなら、それは動物のフンや尿によるシミかもしれません。
家屋に住みつく害獣としては、ネズミ、アライグマ、ハクビシンなどが考えられます。住宅街だから動物が住み着く可能性は低いと油断はできません。
近年では、アライグマやハクビシンの被害が東京都心でも広がっています。
害獣の問題点は、フンや尿で天井にシミができたり、悪臭や騒音がしたりするだけではありません。ノミやダニの繁殖や、動物が持つ病原菌など、深刻な健康被害を引き起こすおそれがあります。
一刻も早く駆除し、二度と住みつかないように対策を取りましょう。
天井のシミを放置するとどうなる?
天井のシミが小さくそれほど目立たないうちは、あまり気に留めず放置する人もいるでしょう。しかし、シミの原因の多くは、住宅の大敵である「水」です。
放置すると、さらに深刻なトラブルにつながるおそれがあります。
木材の腐敗
屋根や外壁の内部に入り込んだ雨水で柱などの木材が湿ると、そこに木材を腐敗させる菌が繁殖します。
この菌が問題なのは、セルロースをはじめとする木材の成分を分解する点です。柱や壁内部の木材がもろくなり、放置すれば家の耐久性が失われてしまいます。
シロアリの繁殖
シロアリは、湿気があり、主食となる木材がある場所に繁殖します。雨漏りや結露で湿った木造住宅の内部は、シロアリの恰好の餌食です。
シロアリが柱や基礎を食害すると家屋の耐久性が損なわれ、大きな地震が来た場合には倒壊の危険が増加します。
家電の故障や漏電
天井や外壁から浸入した雨水が電気の配線やブレーカーに達することで停電が起こったり、家電のコードが水に濡れて故障したりするおそれがあります。とくに漏電は、感電や火災などの大きな事故につながりかねません。
雨漏りシミとそれ以外を見分けるポイント
天井のシミでもっともやっかいなのは、雨が降るたびに被害が広がっていく雨漏りといえます。
では、雨漏りのシミとそれ以外のシミはどのように見分ければいいのでしょうか。
雨が降るとシミがひどくなる、雨音がする
雨が降るたびにシミが広がったり、水滴がしたたり落ちる音がしたりするなら、雨漏りの可能性が高いです。
雨漏りは天井に限らず、サッシの回りや外壁などでも起こりうることも踏まえて、シミの状態を確認するとよいでしょう。
雨漏り以外の天井のシミの見分け方
天井に線状のシミができる
合板の表面にシートを貼った天井材で起こるシミは、線状にシミができることが多いようです。これは、接着剤が塗ってある部分で、接着剤がにじみ出てくるからです。
とはいえ、判断を誤って雨漏りを見過ごすと深刻なトラブルにつながります。専門業者に点検をしてもらうべきでしょう。
天井を走り回る音や悪臭がする
ハクビシンやネズミなどの害獣が住みついているサインです。駆除業者に駆除と対策を依頼しましょう。
冬にシミが悪化する
冬にシミが現れたり、もともとあったシミがひどくなったりする場合は、結露が原因である可能性が高いです。
結露は屋内と屋外の気温差によって生じますが、冬は屋内外の温度差が大きく、とくに結露しやすい季節です。サッシ窓ガラスが結露で濡れているのを見たことがある人も多いでしょう。
前章で紹介した結露しやすい状態の屋根裏でも、滴り落ちるほどの結露が生じているおそれがあります。天井裏に溜まった結露は木材を濡らし、シミとなって天井に表れます。こうして、結露のシミは冬に状態が悪くなるのです。
シミの上にエアコンがある
エアコンのドレインが漏れているおそれがあります。
ドレイン管を逆流したり漏れたりしたドレインが壁内に流れると、溜まった水がやがて階下に染み出してきます。エアコンの運転を止めるとシミから水がぽたぽた落ちるのが止まるなら間違いないでしょう。
天井にシミを見つけたときの対処法
雨漏りが原因の場合
雨が降るたびにシミが広がったり、シミからしずくがしたたり落ちたりする場合は、シミの原因は雨漏りと考えてほぼ間違いありません。自分で補修せず、専門家に雨漏りの調査と修理を依頼しましょう。
DIYでの雨漏り修理をおすすめしないのは、以下の理由によります。
- 原因箇所を特定するのが難しい
- 雨漏りしている場所は高所のことが多く、作業には危険が伴う
- DIYで行う補修では根本的な補修ができていないこともある。その場合、さらに雨漏りが進行・悪化するおそれがある
結露によるカビが原因の場合
カビは、洗剤やカビ取り剤を用いて清掃すれば、一時的にはきれいになります。しかし、カビの原因となっている結露を解決しなければ、近いうちにまたカビは繁殖するのです。
さらに、湿気が高い状態で放置された屋根裏では、木材の腐食が進むおそれがあります。そのため、結露が生じないような対策を取るべきです。
屋根裏で結露が生じている場合、断熱方法や換気方法に問題があることが考えられます。
対策の例としては、主に以下の方法があります。
- 屋根裏に通気口を設け、暖かい空気や湿度を逃がす方法
- 屋根裏に温かく湿った空気が侵入しないように、断熱材を入れる方法
ただし、屋根や屋根裏の構造、材質によって結露を解決する方法は異なります。専門業者に現地調査を依頼した上で、住まいごとに最適の対策を取りましょう。
接着剤のシミが原因の場合
天井の合板に貼ってあるシートの接着剤がにじんでくることによるシミは汚れではないので、清掃を行っても取れません。シートを新しく貼り替えましょう。
配管などの水漏れが原因の場合
問題が生じている水回り製品を新しいものと交換したり、配管から漏水している場合は補修や交換をしたりします。
配管の修理では床下や天井を剥がして工事をすることになるので、かなり大がかりな補修となるケースが多いです。
漏水している場所や漏水の範囲などにもよりますが、配管の水漏れで天井にシミができている場合は、最低でも10~20万円はかかると見込んでおきましょう。
エアコンからの水漏れが原因の場合
エアコンが水漏れしている原因として多いのが、ドレイン管の詰まりです。
ドレイン管にゴミなどが詰まってエアコンからの排水が流れなくなっている状態なら、ドレイン管の内部にブラシを入れるなどして清掃を行えば、解決する方法がほとんどです。
自分でできるエアコンのくわしい清掃方法は、下記のコラムで紹介しています。
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ただし、奥の方で詰まっている場合など、専用の清掃道具を使用しなければ詰まりが解消しないこともあるので、その場合は専門業者に依頼しましょう。
エアコン内部が汚れているために、排水がうまくできない場合もあります。一般の人はエアコンを分解して清掃することは難しいことに加え、清掃で出る汚水で室内を汚さないように養生するのも大変です。
また、誤った作業でエアコンを破損させれば、エアコンを買い直す必要も出てくるので、エアコン内部を清掃する場合も専門業者に依頼する方が確実です。
エアコン室内機の取り付け方に不備があり、排水が室内側に逆流しているケースもあります。この場合は、エアコン取り付け業者に対処を依頼しましょう。
動物のフンや尿が原因の場合
まずは屋根裏に住みついているネズミやハクビシンなどの害獣を追い出し、動物が入り込む入口を塞ぐ必要があります。
駆除のために、屋根の上や屋根裏に上がるのは転落の危険がある上、動物を追い出す際に噛まれたりするとケガや病気の原因となります。
動物駆除業者に依頼することをおすすめします。
動物の駆除と出入り口を塞ぐことができたら、フンや尿で汚れた箇所を補修します。室内に染み出すほど汚れた天井板は、取り外して交換する必要があります。
内装工事ができるリフォーム会社に依頼しましょう。
シミ以外の雨漏りのサインは?
天井のシミでもっとも怖いのは雨漏りですが、「天井にシミがないから安心」というわけではありません。
- なんとなく部屋がカビ臭い
- 雨音が以前よりうるさい
- 雨が降るとサッシ周りで水が溜まる
- 壁紙や天井のクロスが浮いてきた
これらの状態は雨漏りのサインである可能性があります。
雨漏りの兆候や原因について、以下の記事でくわしく紹介しています。
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「雨漏りの調査を専門家に依頼する価値はあるの?」
「本当に雨漏りをきちんと調査できる業者かどうか判断する方法はあるかしら」
と、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
目で見たり水を流したりするだけでは、雨漏り箇所や範囲の正確な特定は難しいものです。老朽化が進んだ家屋なら、はっきり雨漏りしているとわかる箇所以外にも、劣化して雨漏りしかけている箇所があるでしょう。
そこで、雨漏り調査・修理の専門業者は、赤外線カメラで屋根の温度差を確認したり、特殊な発光液を用いて雨漏りの範囲や箇所を特定したりします。
逆にいえば、このような専門的な調査をやろうとしない業者は信頼できない、ともいえるでしょう。
専門家が行う調査内容や修理業者の選び方は、以下の記事でくわしく紹介しています。
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天井にシミができてからでは遅い!?雨漏りの防止方法
多くの人は、天井にシミができたり室内に雨水がしたたり落ちたりして初めて雨漏りに気づくものです。
しかし、雨水はじわじわと時間をかけて浸入してくることが多く、雨漏りで気づいた時には屋根の内部で深刻な被害が生じていることもあります。
屋根を葺き替えたり、屋根の基礎から補修をしたりするのには、高額な費用がかかります。雨漏りでシミができてから対処するのではなく、雨漏りをしないように予防策を取れば、高額な費用をかけずに家屋の耐久性や安全性を維持することができるでしょう。
定期的に点検を行う
数年ごとなど、定期的に屋根の点検を行いましょう。雨漏りがしやすい棟や谷になった部分に不具合が生じていないか、重点的に確認するとよいでしょう。
また、屋根や雨どいにゴミやホコリが溜まっているために雨水が屋根から速やかに排水されず、雨漏りにつながるケースもあります。屋根や雨どいの清掃も半年に1度はするとよいでしょう。
屋根の塗装が劣化する前に塗装を行う
昔ながらの日本瓦であれば、屋根の定期的な塗装は不要です。しかし、現代の一般的な個人住宅でよく用いられているスレートは、定期的な塗装が必要な屋根材です。
新築から10~15年経過すると、スレートの表面を防水している塗膜が劣化してきます。そのまま放置すると、スレート自体の劣化が進行し、葺き替えなどの高額な補修が必要になったり、雨漏りにつながったりします。
防水のための塗装が必要なのは、屋根だけではありません。ベランダも同様です。
ベランダも雨水にさらされる場所です。ベランダの防水性が失われるとコンクリートのヒビなどを通じて雨水が内部に浸入し、雨漏りにつながります。
定期的な点検と、適切なタイミングでの塗装で、家の耐久性をしっかり維持したいものです。
まとめ
天井にシミができる原因や対処法、そして家を損なう雨漏りを発見するポイントや予防方法をご紹介しました。
雨漏り以外の原因でも、天井のシミは内部でトラブルが進行しているケースが多く、放置するとさらに深刻な状況になります。
天井のシミをみつけたら、「多少見た目が悪い程度だからガマンしよう」などと思わず、すぐに専門業者に依頼して対処してもらうことをおすすめします。
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